同窓生紹介 岡久 真希さん

2012年05月19日(土)


お勤めの会社について教えて下さい。

大日機工株式会社というところに勤めています。
メーカーと工場の間に入って工具などを卸す機械工具の専門商社で、私が勤める大阪営業所の他には滋賀と仙台にも支店があります。
小さな物はネジから大きな物は工作機械まで様々な商品を取り扱っていて、お客様のご要望に合わせた品を卸しています。
お客様の声に敏感に反応でき軽いフットワークで対応ができるので、メーカーよりも細やかな対応が出来ることが強みだと思っています。

詳しくはどんなお仕事内容なのでしょうか。

具体的には、定期的にお客様を訪ねるルート営業を中心としています。
摩耗したり使えなくなった工具や機械の部品を定期的に納品したり、訪問した時にお客様が必要とされている物をさらに注文を受けたりという内容です。
急ぐ商品がある場合は私が仕入れ先まで引き取りに行ったりと、お客様に対するフォローもメインの仕事となってきます。

営業職というと新規顧客の獲得をするイメージが強いですが、そういうこともされますか?

はい、もちろんです。
新規のお客様を回る時には、メーカーの担当者と同行して新商品のPRに回る事もあります。
毎回訪問するお客様よりも、新規に訪ねるお客様の方が新商品に対してよい反応が返ってくる事が多いのです。
この業界は商品も多くそれに対して様々な知識が必要になるので、新商品を担当と営業に回ればより商品の詳細をお客様にも届ける事が出来るので、新規顧客の獲得にもプラスとなっていると思います。

福祉の勉強をされていたと思いますが、なぜこの仕事につこうと思ったのですか?

営業の仕事をしている理由としては「人が好きだから」とお答えできるのですが、実は初めは営業ではなく事務という形で会社に就職したのです。
入社面接が終わった後、職場の方が「この後時間はありますか?」と言って、その日一日の仕事の様子を見せて下さいました。食事に連れて行って下さったり色んなお話を聞かせて下さったり、帰りも送って頂いたり。
他の会社の面接も受けてきましたがこういう経験はなく少し戸惑っていた時、その方はこう言ったんです。
「自分が入るかもしれない会社の事なので、色々とわかった方がいいでしょう?」
まだ面接を受けにきただけの私に対してそれほど親切に出来る人はそういないんじゃないか、私はこの人についていきたい、と思って会社を決めたんです。
実際入社してみたらその方だけでなくみなさんすごく優しい方ばかりですし、仲がいいので「釣りに行こうか」とか「慰安旅行はどこに行こうか」とか、すごく和気あいあいと話ができる職場なんです。
なので「営業につこう」という目的ではなく、職場の方がきっかけでこの仕事につくことになったのです。
就職してからは事務の仕事を通しながら商品の知識などを身につけ、先輩方のサポートをし、その後社内での異動により営業の仕事についたという訳です。

営業のお仕事は楽しいですか?

すごく楽しいです!!もちろん大変なことも多いんですけど、楽しいと思えるのは先ほども言いましたが人と接することが好きだからですかね。
休日なんかも家でのんびりするよりは外へ出て友達と会ったり、買い物したり、あとはバレーボールしたりして色んな人と会う事が好きなんです。ちなみに大学時代もサークルはバレーボールに所属していたくらいバレーボールも好きなんですよ。

そういえば工場などに関係した仕事は男性が多いように思いますが。

そうですね、私ももともとそういうイメージを持っていましたが、最近は私のような女性がこういった工場の営業をすることも少しずつではありますが増えているそうです。

男性が多い中で苦労された点を教えて下さい。

現場の職人さんに「女にはどうせわからん」とおっしゃる方がいて、軽くあしらわれたことですね。
でもそれだけで引き下がってはいれないので、理解を得るために何度も訪問を重ね、少しずつ信頼関係を築き上げ、認めて頂くまでに至りました。
ある日そのお客様が、「いつも無理を聞いてくれてありがとう」と感謝して下さったときは、すごくうれしかったです。
他には単純なことに聞こえますが重い物を運ぶのが大変だという場面がけっこうあります。あとはお手洗いですね。
工場を訪ねた場合男性用のお手洗いしかないことも多々ありますので(笑)
そういう時は、男性用をお借りするか、コンビニに行くかしてますが男性には理解してもらいにくい悩みでしょうか。

職人さんに認めてもらうことから、お手洗いまで陰ながら苦労されているんですね。逆に女性ならではの強みを教えて下さい。

さきほど「女性の営業が増えつつある」とはいいましたが、まだまだ女性は少ないということもありめずらしいからか、優しくして頂いたことはあります。
一度なんて「話すだけで癒されるわ」と言って頂いたこともありますし(笑)
男性が多い中での女性ということで、かわいがって頂ける事もあります。

学校で学んだことは、この仕事に役立っていますか?

学校で学んだ事とこの仕事、まるっきりイコールといえば嘘になりますが、とても役立っていると思います。
「初対面からのアプローチ方法」「顕在的・潜在的ニーズをみつけてそれを満たすプロセスを考える」
…という部分は、介護も営業も変わらないんじゃないでしょうか。
相手が困っていることを探し出して、相手と同じ目線になって、それに応える。
どちらの職業もそういうことなんだと思います。

営業を行う上で、特に心がけていることはありますか?

単純かもしれませんけど、あいさつや言葉遣い、相手の目をきちんと見てしゃべること。
あと、いつも笑顔でいることを心がけています。
「お客様は自分の鏡だ」という言葉を聞いた事があります。
自分が不安な顔をすればお客様も不安に。逆に、私が笑顔でいれば自然と相手も笑顔になってくれます。
そういったことを心がけて回るうち、新規のお客様から数件注文を頂いたことが出来た事を考えると自信につながってきますね。

やはり、新規のお客様にご注文頂くのは大変ですか?

一概には言えないですが、大変です。
例えば、ある新規のお客様を訪ねていた時のことです。
責任者は工場長をされている60歳近いご年配の方で、よくお話をして下さる方でした。
私もお話をするのがとても楽しかったのですが、すぐには注文を頂けなかったため、こまめに訪問を重ね見積もりも何度も出し、価格の調整を行ったりと、とにかく毎日足を運びました。
訪問の甲斐もあって注文を頂いた時に「ほんまは何社も工具屋が入っているから新しく入れることはせんけど、あんたが頑張ってるから注文したげるわ。他の人やったら頼んでないで」と言って頂いた時は涙が出そうになりました。
商品のみではなく、また他の人でもなく、私自身を買って頂けたということがとても嬉しかったです。
以前ある方から「営業は”モノ”ではなく”ヒト”を売る仕事だ」と聞きましたが、その意味を仕事を通じて実感した瞬間でした。

今後の目標などありましたら教えて下さい。

先ほども言いましたが、商品に対する知識がとても必要とされますし新商品などもどんどん出ています。そんな中でよりいっそうの知識を持ち、お客様のご要望にも的確に応えられるようになりたいです。
実は最近後輩が出来たんです。
私も先輩から言われたのですが、後輩には「知識は自分でみて盗め」という風に伝えています。
もちろん、基本的な事などは伝えるのですが、言葉で伝わらない事は私を含め先輩を見て学んでもらう。
でもそのためには、私自身もきちんと手本になるように動かないといけないんです。
最初は戸惑いましたが、自分の知識や営業方法を再確認できるのでとてもいい機会だと思っています。
あとは、先程述べたような「女性だから気に入ってもらう」ということではなく私自身を気に入って頂けるような営業になって、お客様の笑顔を増やして行きたいと思っています。