会長あいさつ

清水建設株式会社 
河田 孝志 
(土木第1期) 
会員の皆様へ




 
 
 環会会長としてご挨拶させていただきます。
 2021年度4月に新生工学部が誕生し、環境デザイン工学科は工学部環境・社会基盤系都市環境創成コースに改編され1期生の学生を迎えることとなりました。
 新工学部の設立を記念し、岡山大学津島キャンパス内に、新工学部の学生が学ぶとともに、地域・企業の皆さまとの協働を一層充実させることを目的とした施設『共育共創コモンズ』が隈研吾先生の設計、施工管理により2022年11月完成予定で建設されます。「共育共創コモンズ」は、カーボンニュートラル・脱炭素社会に貢献する、環境に優しい木質系材料CLT (Cross Laminated Timber)を活用した木造2階建て810㎡の建築です。
 新生工学部の発足に従い環会の組織運営について評議委員会でも議論がなされているところです。
 昨年に引続きコロナ禍における皆さんへのご挨拶となりました。全国的にも感染者が少なかった岡山県も、今年8月18日には307人の新たな感染者が報告され、人口当たりの感染者数も全国で3番目となり、家族を岡山に置いて、東京で単身赴任生活を送っている私も大変心配いたしました。9月末から、全国的にもまた岡山県も急激に感染者が減少している状況化で、皆さんの生活も少しずつですが、元に戻りつつあるのが現状かと思います。
 私は10月末から、インドネシアのアサハン水力発電所工事(174MW)現場へ長期出張に来ています。本来ならもっと早くに現場を訪れたかったのですが、コロナ禍で海外工事はままならず、今回の出張となりました。この工事は私が40歳前半に経験した工事と同様な工事で、入札時にも対応しており65歳にして現場を毎日駆け回っています。スマトラ島のトバ湖の近くに現場があり、トバ湖からマラッカ海峡に流れるアサハン川の豊富な水源を使っての水力発電所です。1970年台から、日本の政府開発援助(ODA)で工事が進められており、このプロジェクトが第3期です。発展途上国における工事を私自身2現場、10年間経験していますが、その度に感じるのは、日本の様々な土木工事システムの素晴らしさです。その中でも、土木工事に欠かせないコンクリートの生産供給、機械のメンテナンス、資機材の供給があげられます。この現場でも35万㎥のコンクリートを、現場に設置した2か所の砕石工場で骨材、砂を生産し、3ケ所のコンクリート工場で生産、1400人が働く10ケ所以上のトンネル工区、地下発電所工区、取水堰各工区に供給します。この現場には入社3年目から8年目までの若手技術者が6名在籍しており、毎日の様に発生する、コンクリートに関するトラブルをはじめ様々な問題点に対して若手の職員と一緒にその対応に追われております。
 コンクリートの標準示方書、私自身が土木技術本部長時代に作成に関わったコンクリートマニュアルを読み、先日は綾野先生に日本におけるコンクリート工場の検査要領を送っていただき勉強しました。改めて、コンクリートの難しさを痛感しているところです。
 皆さん、既にご承知の方もおられるかと思いますが、阪田憲次岡山大学名誉教授が11月2日にご逝去されました。阪田先生は1975年に助手として岡山大学に着任され、我々一期生にとっては先生と言うより、一見怖そうですが人間味あふれる優しい兄貴でした。88年岡山大学教授、99年環境理工学部長、2003年大学院自然科学研究科長を務められました。コンクリート工学がご専門で、日本コンクリート工学協会会長、日本ダム工学会会長、第98代土木学会会長を歴任されました。土木学会長を務められていた時に東日本大震災が発生、産官学の被害調査の陣頭指揮を執られました。調査結果の緊急声明で「われわれが想定という言葉を使う時、専門家としての言い訳や弁明であってはならない」と技術者の在り方を示されるとともに、「技術者には想定外を想定する想像力が求められる」訴えられました。
 私自身、毎年の様に発生する自然災害の脅威の中、土木技術者としての無能さを感ずるところですが、会員皆様がそれぞれの立場で、家族、国民、海外工事に携わっている方はその国の皆さんの安全、安心を我々が担っているという気持ちを持って、頑張りましょう。
 
←↑アサハン水力発電所工事施工中全景写真



金杉インドネシア特命全権大使現場視察時の視察記念写真