卒業生便り

港南からはじまる

2019年07月03日(水)
山本 あずみ(造形2期)

 港南造形高校では、様々な分野の創作活動を体験することができ、また絵画を通じてのユニークな人々との出会いがあり、それまでの人生とは違ったわくわく感の湧き出る毎日を過ごすことができました。
 ただ高校時代は絵を描くことは好きだけれど、自分の表現したいことが見つからず、独創的な表現をする周りの人達の中で足踏みをしている自分にもやもやとした感情を抱いていたのも事実です。
 港南で日本画の絵の具の美しさを知り興味を持ったので、大学は日本画専攻とし四年間取り組みました。そして、幼いころから好きだった鳥をテーマに作品を制作するようになりました。本当に描いてみたいものがやっと見つかったのです。
 卒業時にはハゲコウというコウノリの一種をモチーフに、巨大な作品に挑戦し、制作に没頭しました。この作品で賞をいただき、作品が卒業制作作品集の表紙になったことは大きな自信となり、その後の進路へ大きく背中を押してくれることになりました。
 大学卒業直後は、絵画修復の工房にお世話になったり、中学校の講師をしたりしながら、少しずつ作家活動を続けました。その中で様々な発表の機会に恵まれ、多くの絵を愛する仲間とも知り合う事ができたことは私の大きな財産の一つとなっています。現在は高校で美術講師を続けながら作家活動を行っています。また、墨を使った教育活動のNPOで、現場の先生方や児童、生徒に墨を使った教育活動のサポートを行ったり、海外のワークショップで海外の学生たちと交流を持ったりしています。
 講師を続ける中では、様々な背景をもった生徒たちとの出会いの中で、心身ともに疲れて絵筆を持てないときもありましたが、今思うとその中で考えた事や協力しあった人々との出会い、また個性豊かな生徒たちから刺激を受けたことも私の財産の一つとなっています。
 今、高校を卒業してからの日々を振り返り改めて思うことは、「港南造形高校で過ごせて良かった。」ということです。
 絵を画く仲間として生徒を対等の人として見てくださった先生方、日本一といわれた設備、そしてユニークな発想の同級生、そんな環境が球根の私に大きな土壌を与えてくれていたのではないかと思います。
 今の私はやっと芽をだした頃でしょうか?港南造形高校の卒業生としてこの土壌にもっともっと根をひろげ、大きく茎を伸ばし葉を茂らせ花も咲かせたいところですが、どうなることでしょうか?せめて枯らさないように今はせっせと水をやることにします。(笑)